エクシブ投資顧問
エクシブ投資顧問(河端哲朗代表/東京・五反田)は「日本株の銘柄選び」を専門とする助言会社である。独自の企業調査をもとに、株式の評価を行い、推奨銘柄を選定するという。いわゆる「中小型株」の分析を得意としている。私たちワンプラ勉強会は、エクシブ投資顧問の銘柄発掘方法や、推奨銘柄の上昇率&下落率ランキングなどを調べた。(2025年5月、ワンプラ勉強会)
■■■ このページの目次 ■■■
・ 富士通の歴代社長 ▲
・ 銘柄選びの特徴 ▼
・ ポイント ▼
・ 反・相場全体主義 ▼
・ アナリスト ▼
エクシブの「銘柄選び」とは
エクシブ投資顧問は、推奨銘柄の選定・発掘のために、多数の上場企業の調査・分析を行っている。個別銘柄の業績や口コミを丹念に調べるのが特徴だ。
綿密なリサーチ
注目すべきなのは、企業調査における「ボトムアップ・アプローチ」の徹底ぶりだ。綿密なリサーチを重ね、将来性などを判断しているようだ。
株価を決めるのは個別企業の収益
エクシブ投資顧問は、相場に対峙するうえでの基本的な考え方として、以下の信念を持っている。
「株価を中長期的に決めるのは、その会社の収益だ」
この信念に従えば、株式相場で利益を出すためには、「どれだけ個別企業の内容を把握し、収益を正しく予測できるかが勝負」ということになる。
「IR不在」時代の河端哲朗氏
エクシブ投資顧問の河端哲朗代表は、ボトムアップ型の銘柄評価を長年にわたり提唱してきた。 河端氏が野村證券に在籍していた1980年代は、まだIR(投資家向け広報)が浸透していなかった。
地道な調査活動
投資顧問や投資家が、企業の経営トップから戦略等を聞くのは難しかった。それでも、河端氏は地道な調査活動の大切さを説き続けた。
フィデリティ流
河端氏は、伝統的にリサーチ重視で知られる世界最大の投資信託会社、米フィデリティも意識していたようだ。とりわけ、フィデリティの2代目経営者のネッド・ジョンソン(エドワード・ジョンソン3世)氏の手法に注目したと言われている。
ネッド・ジョンソンの手法
ネッド・ジョンソン氏は1961年から投資信託の運用を任された。細部にこだわるタイプであり、休暇中の幹部社員の部屋に行き、その担当部署で何が起きているのか見て回っているという評判だった。創業者の父親エドワード・ジョンソン2世は、「秩序あるレッセ・フェール(自由放任)」を信奉しており、大局を重視した。一方、後継者となった息子のネッドは、全ての面で注意深くチェックする人物だった。木も枝も全てに気を配り、もし針が落ちていれば、そのことについても知りたがった。
バブル相場の限界に気づく
ネッド氏のこのキャラクターが、投資対象の企業を徹底的に調べるフィデリティの伝統の土台となった。徹底したボトムアップ型の分析により、フィデリティは1970年代以降、躍進を遂げた。河端氏は1980年代の段階でこの手法のポテンシャルに気づき、日本にも根付かせようとした。バブル相場の限界を見抜いていたのかも知れない。
「細部」と「大局」をつかむ投資顧問
河端氏が率いるエクシブ投資顧問は、個別企業の「細部」と、経済全体の「大局」の双方を見極めながら、推奨銘柄の選定に取り組んでいるようだ。 以下、その特徴について、具体的に検証する。

エクシブ投資顧問の銘柄選定ポイント
エクシブ投資顧問が銘柄選びに当たって重視するのは、以下の点のようだ。
項目 | 内容 |
---|---|
競争力 |
成長市場における競争優位性を重視する。競争力とはつまり、製品・サービスの将来性である。同時に、仕入れ・販売における価格決定力でもある。
高いマーケット・シェアを保っているかどうかの見極めも必要だ。競争力は常に変化する。その動向には常に目を配る必要がある。 |
経営の質 | 株主を重視する経営であるかどうか。経営者が自社の長所と短所を自覚して経営資源を選択・集中しているか、を見る。 |
バリュエーション | バリュエーション(投資先の価値評価)で1番大事なのは何か。それは、国際、業界、歴史的に見て、現在の株価が今後3年間の収益予想ベースで割安かどうか。 |
キャッシュフロー |
エクシブ投資顧問は、企業の「フリー・キャッシュフロー(FCF)」に着目する。
フリー・キャッシュフローとは、決算の時点で会社に残る現金のこと。
つまり、安定した現金収集力があるか否か。それが大事だ。 何らかの理由で低成長に甘んじて、市場からの人気がなくても、キャッシュを残す力があれば、何らかのきっかけで評価がガラリと変わる可能性がある。 「鉄くずを真ちゅうにするのは簡単だが、銅を金に変えるのは難しい」というのは、河端哲朗氏の哲学の一つだ。 |
評判 |
エクシブ投資顧問では、アナリスト説明会はもとより、第三者の評価を重視する。この際、経営の質に関する評判にも配慮する。すべてチェック項目ごとにレビューを点数化して、比較検討を行う。
企業のレピュテーションを数値化することで、銘柄間の比較が容易になる。アナリストの恣意性を排除する効果も見込める。 |
歴代社長の評価 | 企業の歴代社長(経営者)の評価を行う。実績など。エクシブ投資顧問では、例えばNTT、岩谷産業、富士通などの社長の歴史的な評判に詳しい。 |
「相場全体主義」でなく「個別主義」
エクシブ投資顧問の投資助言理論は、いわば「相場全体主義」でなく「個別主義」である。
世の中の人々は、日経平均など相場全体の値動きに一喜一憂している。しかし、それでは「日経平均株価」などの指数に連動するインデックス投資と変わらない。
臨機応変
相場全体が下がっても上昇する銘柄を選ぶことが大切だ。そのためには、臨機応変に対応ができる個別銘柄主義を貫く必要がある。
アクティブ運用
つまり、エクシブ投資顧問は「アクティブ運用」のための助言会社だということだ。「アクティブ運用」は、評価基準である日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの指標を上回るパフォーマンスを目指すものだ。市場のリターンを上回るパフォーマンスを目指すのだから、投資家の独自の見通し、技法が大きく試される手法といえる。
河端哲朗氏の野村証券での経験
3段階の格付け評価(レーティング)
エクシブ投資顧問の評価方法は、河端哲朗代表の野村證券時代の経験に基づいている。 野村は1993年1月から、野村総合研究所のアナリストによる分析によって、企業の株を「三段階」に分けた格付け評価(レーティング)によって投資判断する資料の提供を始めた。当時の東証一部、二部の上場企業と店頭公開企業の合計2000社以上の中から1100社について、それぞれの銘柄の株価の変動を予測したものだった。
アナリスト時代の到来
この営業方法は、企業調査と分析がコンピューター・システムに基づいたものであり、「リサーチ営業」と呼ばれた。 アナリストの時代の到来でもあった。
全国145の支店に配布
実際、河端氏ら野村證券の現場の若手たちは、アナリストの分析を重視し、投資家に参考になる情報を提供する営業に徹しようと試みた。レーティングした個別企業の資料は全国145の支店に配られ、同時に野村総研のアナリストが、毎朝、放送で支店の営業部員らに資料の背景などを含めた経済情報を説明した。営業部員はこの資料などを使って営業を展開した。
カウンターで相談
支店に行って銘柄選びをカウンターで相談すると、窓口の社員は分析資料を取り出し、「どの銘柄がいいですか」などと対応していた。銘柄は、投資家責任で選ぶが、必要ならさらに詳しい資料が提供された。
ネット証券時代の投資顧問の役割
今ではネット証券が取引の中心になり、窓口(カウンター)での情報提供は貧弱になった。その隙間を埋めているのが、投資顧問だ。エクシブ投資顧問は、そんなアドバイザーの代表的な例の一つなのだ。
「オルカン主義」でなく「日本主義」
また、口コミの評判によると、エクシブ投資顧問は「オルカン主義」でなく「日本株主義」である。
若い世代の悲観論と海外買い
昨今、海外投資がブームになっている。その理由は、みんなが「日本に将来はない」と思っているからだ。とくに若い世代には悲観論が強い。生まれたときから経済の低成長や人口減が続いており、「負ける日本」という意識が身に沁(し)みついているからだ。その結果として、日本株への投資を敬遠し、外国企業の株を買おうというマインドが強くなっている。
日本経済が沈没しても滅びない日本企業
しかし、たとえ日本経済が沈没しても、決して滅びることはない日本企業は多い。すなわち、地球全体とともに成長する日本企業を選べばよいのだ。
為替リスク
また、海外投資には為替リスクがつきまとう。外国株を買った後に円高になったら損失が出る。
母国民の情報優位
そして、外国企業の株について、その国の投資家よりも情報面での優位性を持つことは難しい。 もし海外投資を行うとしても、個別銘柄でなく「SP500」などのインデックスに投資したほうがいい、ということになる。

アナリストがカバーしない領域
日本の株式市場は4500を超える銘柄が上場している。エクシブ投資顧問によると、このうち中型株が400銘柄、小型株が4000銘柄だ。「中・小型株」は全体の約98%を占めている。
企業の時価総額にこだわらない
この数字からも分かる通り、企業の時価総額にこだわらなければ、日本の株式市場には幅広い投資機会があると言えるだろう。
内需企業が多い
また、中小型株と大型株を比べると、相対的に中小型株の方が世界景気や為替変動の影響を受けにくい内需企業が多い。ここに投資機会が生まれている。エクシブ投資顧問を利用する価値も、この点にある。
円高でも伸びる銘柄を探せ
また、中小型株は、大型株に比べて海外投資家の保有比率が低い。だから、グローバルマーケットの混乱時に影響を受けにくい。
企業の時価総額への執着を捨てることで、さまざまな投資機会を的確にとらえ、成長性があって、かつ割安と判断される企業を発掘することが可能となる。